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桔梗 (ききょう) |
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キキョウ科の多年草キキョウPlatycodon grandiflorum の根。 去痰・鎮咳作用が強く、感冒や上気道炎、気管支炎、肺炎などに用いられる。 排膿作用もあり、扁桃炎や中耳炎、鼻炎にも使われる。 万葉の時代にはアサガオとよばれ、秋の七草のひとつに数えられた。 咳を止め、痰を切る 「先生、咳が止まらなくて困っています。咳止め薬で抑えていますが、それでも咳がこみ上げてきて抑えられないときもあります。もう二か月くらい続いているので漢方で根本的に治してもらえますでしょうか」 フリーでアナウンサーをしている四十四歳の女性は、長引く咳に悩んでいる。仕事柄、たいへん困るとのこと。最初は軽いかぜを引いただけだったのだが、咳だけが残ってしまった。痰も出て、のどや胸のあたりがすっきりしない。のどの痛みもある。 この女性のような証を「肺失宣粛」という。肺は五臓六腑のひとつで、おもな機能は気や津液の宣発・粛降。専門用語で恐縮だが、気や体液を全身に隅々まで散布し、機能を果たしたあとは穏やかにおろしていくということ。この肺の宣発・粛降が失調し、咳や痰が出ている。 こういう場合、漢方では「開宣肺気・キョ痰」という方法で治療を進める。肺の機能を立て直し、痰を取り除く。 生薬「桔梗」は、この作用が強い。キキョウの根を用いる。鎮咳作用が強く、のどの痛みにも効果的なので、龍角散などの市販薬にも配合されている。また桔梗には排膿作用もあり、扁桃炎や膿性の鼻汁、皮膚の化膿に効果がある。下痢や腹痛にも使う。 古くは、桔梗はアサガオと呼ばれ、山上憶良が万葉集で詠んだ秋の七草にあるアサガオは、桔梗のことである。二、三十年前には山野でよく見かけたものだが、いまや絶滅危惧種に指定されているというのは驚きである。 桔梗の根には毒がある。しかし茹でるなどすれば無毒化し、食べられる。もちろん生薬の桔梗にも毒はない。女忍者に桔梗の名を見かけることがあるが、こういう桔梗の変幻自在な属性からの命名かもしれない。 韓国では桔梗をトラジといい、その根を塩水で煮てナムルなどとして食べる。この名を屋号に冠する韓国料理店も多い。 冒頭の女性アナウンサーも、桔梗配合の漢方薬を飲み、一週間後には咳が完全に止まった。そういえば忍者が天井裏や床下で咳をすれば命取りである。桔梗は忍者と関係が深いのかもしれない。 |
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