薬石花房 幸福薬局


菊花 (きくか)
キク科の多年草キクChrysanthemum morifolium などの頭状花。
抗炎症作用や、視力を改善する働きがあります。頭痛やいらいらにも用いられます。
一般に3〜18グラムを煎じて服用します。





中年以降の目の疲れに

 40代も半ばを超えると、目の衰えを感じ始めるビジネスマンが増える。旅行代理店で営業を努める45歳の男性もそうである。

 それまでなんとも思わずに見ていた企画書や計算書の数字が、かすんで見える。がんばって焦点を合わそうと思っても、なかなか言うことをきかない。同僚には老眼が始まっているものもいて、彼らが言うには、書類を少し離して見るとはっきり見えるようになるらしいが、その兆候は今のところ、まだ感じられない。

 とはいうものの、もう45歳。老眼もちょっとは気になるので眼科に行ってみた。ちょっとした検査をして医師が言うには、老眼はまだ大丈夫、ただし、慢性的な眼精疲労があるようだ、とのこと。

 たしかに毎日パソコンとにらめっこ、しかも夜遅くまでの残業や接待も多い。目が充血することも多く、ちょっと目を酷使してきたかもしれない。

 漢方では、五臓六腑の精気がみな目に表れるとしている。とくに目は「肝の竅」とされ、肝のもつ調節機能や滋養作用との関係が深い。

 先の営業マンの場合も、疲労の蓄積や、ストレスによる調節機能の鈍化が、目に表れてきたものと思われる。

 漢方生薬の「菊花」には、明目作用といって、視力の低下や目の充血、それに視神経の機能低下を改善する働きがある。抗炎症作用があるので、目の充血だけでなく、結膜炎や感冒にもよい。さらに、いらいらや高血圧、ふらつき、頭痛などにも用いられる。

 中国では菊花茶や菊花酒、それに菊花の枕などもあり、日常生活にも浸透している生薬である。

 九月九日の重陽は、別名、菊の節句。これからの季節、たまには仕事を忘れて野山や庭園を散策し、菊花を観賞してゆっくりと目を休めるのもいいだろう。いつも同じ距離にあるパソコンの画面ばかりでなく、近くの草花、遠くの山々と焦点距離を動かすことで、目の機能のストレッチにもなって効果は倍増である。

エルネオス 2005年9月

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