薬石花房 幸福薬局
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⇒参考エッセイ・ショートストーリーはこちら
ゆみ子の悩みは、繰り返し再発する膀胱炎だった。もう5、6年になるが、梅雨どきから夏の終わりにかけての時季に体調をくずす。

疲れたとき、ストレスを感じるときなどに頻尿になる。さっきトイレに行ったばかりなのに、すっきりせずにまたトイレに行きたくなる。それが排尿時に痛みを感じる程度になると、近くの診療所に行く。抗生物質をもらう。薬を3日も飲めば、症状は落ち着く。

処方される薬は、どこの病院へ行っても似たり寄ったりである。

はじめの2、3年は、抗生物質で膀胱炎を治すことに何の疑問も感じなかった。ほんの小さな錠剤で頻尿や痛みが緩和されていくことに驚きも不思議も感じなかった。膀胱炎にかかるたびに、白い錠剤はゆみ子の体内で細菌を退治してくれた。細菌が減れば症状は治まっていった。いつもいつも、抗生物質に頼りっぱなしだった。

――でも、こんなことの繰り返しでいいのかしら。

去年くらいから、そう思うようになった。毎回、抗生物質を飲んで、膀胱に侵入してきた細菌を殺す。そのときはとりあえず、それで落ち着く。それでもまた体調のわるいときを見計らって細菌はゆみ子の体内に侵入し、ゆみ子を苦しめる。抵抗力が落ちれば抗生物質に頼ってしまう、その繰り返しであった。

――根本的に治せないかしら。

友人の勧めで、漢方を試してみることにした。予約した日に漢方薬局に出かけ、カウンセリングを受けた。

「あなたは冷えが根本にあり、それが免疫力の低下につながって膀胱炎にかかりやすくなっているようです」
と漢方の先生は言った。

「だれでも平等に、細菌が感染して膀胱炎にかかる危険にさらされています。でもふつうは人体に備わる免疫力や防御機構が作動して、病気になる前に細菌を殺しています。ところが疲れたりして免疫力が下がっているときには細菌の感染を防ぎきれず、その結果、膀胱炎になってしまいます。あなたの場合は、そういう状態になりやすいようですので、漢方薬で基礎的な免疫力を高めておくといいでしょう」

免疫力を高める、といっても、その方法はひとりひとりの体質によって異なり、わたしの場合は冷えをとって抵抗力を補う生薬の山茱萸や杜仲、山薬などがいいそうだ。

慢性的に膀胱炎を繰り返す人にはいろいろなタイプがあり、わたしのように冷えて免疫力が弱っているタイプのほかに、粘膜が弱いタイプや、緊張しやすいタイプなどさまざまあり、それぞれ適応する漢方生薬は違うそうだ。

わたしの場合、漢方薬の服用と並行して、日常生活でもからだが冷えないような工夫をするように言われた。おかげで膀胱炎は落ち着いているし、それ以外の体調もよくて、満足している。……

(講談社「VOCE」2005年9月号「ビューティ漢方道」より抜粋・一部改訂)

なお、以下のエッセイ・ショートストーリーも参考になさって下さいませ。

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