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からだ全体に関する
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⇒参考エッセイ・ショートストーリーはこちら
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むくみは、血管からしみ出た体液がうまく循環されずに皮下組織などにたまった状態をさします。腎炎や肝硬変、心不全などの病気で全身がむくむことなどもありますが、日常よく見かけるのは、とくに病気ではないけれども発生するむくみです。夕方になると足がぱんぱんに張ったり、朝から顔がはれぼったい感じがあったり、女性だと生理前にむくみがひどくなったりというケースです。
このような症状に対して、漢方は効果を発揮します。
むくみに悩む25歳の女性がいました。一日中オフィスで机に向かって座って仕事をしていますが、午後になると足がむくみ、夕方にはぱんぱんになります。足の太さが朝と違うのが、自分でもわかります。とくに生理前にはむくみがひどく、痛みを感じることもあります。むくみ以外には疲れやすい、冷え症、寒がり、生理の量が多いなどの症状があります。
このかたは、日ごろから疲れやすくスタミナがないタイプです。そして身体の諸機能が弱いために体が温まらず、同時に水分の代謝もよくないのでむくみが生じています。こういう場合は白朮や茯苓などの生薬で水分代謝機能を高め、補骨脂、桂枝、巴戟天などの生薬で諸機能を高めてさらに水分の流れをうながし、むくみにくい体質を作ることができます。体の機能全体がよくなるので、同時に冷え症や生理の悩みも解消されます。
むくみのメカニズムについて見てみましょう。水分は人体にとって、なくてはならないものです。その理由のひとつは、酸素や栄養を体中に運ぶために水分が必要だということです。酸素や栄養は水とともに動脈の中を流れて毛細血管からしみ出して体中の細胞に渡されています。そして今度は老廃物が水とともに静脈側の毛細血管やリンパ管に吸収されて運び去られています。こうして私たちの体の細胞は元気に活動しています。
しかし血液やリンパ液の流れがよくないと、水分を毛細血管などをとおして運び去る力が弱くなり、水分が細胞間にたまってしまいます。これがむくみです。
血液やリンパ液の流れが悪くなる原因はいくつかあります。たとえば腎臓になにか問題がある場合は、作られる尿の量が減りますので、余分な水分が体内にたまり、むくみが生じます。顔、とくにまぶたがむくみます。また心臓が弱いと血液の循環が十分にできないので水分が毛細血管の周辺にたまってしまいます。この場合は足にむくみが生じやすくなります。肝臓の機能が低下した場合もむくみを生じます。肝臓でのたんぱく質の合成が不十分になりますので血液中のたんぱく質濃度を高めるために血管内の水分量が減ります。その結果、血管外の水の量が増え、むくみにつながります。
腎臓などの臓器の機能低下以外には、ホルモンの作用により水分が体内にたまりやすくなることもあります。生理前にむくむ場合などです。また貧血や急激なダイエットで血液中のたんぱく質濃度が減少した場合も、上記の肝臓病と同じ理由でむくみを生じます。乳がんや子宮がんの手術後に足や腕がむくむ場合もあります。これは手術でリンパ節を切除したために生じるリンパ浮腫といわれるもので、おもに手術をした片側にのみ生じます。
漢方では、水分は気や血と同じように体内をなめらかに流れている物質ととらえており、その流れが悪くなったときにむくみが生じると考えています。原因は五臓六腑の機能の失調にある場合がほとんどです。そこで臓腑機能のバランスを調整し正常化することで、むくみの根本的な改善を図ります。水は人体に必要不可欠なものです。その水の代謝や水分保持能力を正常に維持させるために五臓六腑のすべてが深く関係しているのを、漢方の先人たちは古くから知っていました。そこで漢方薬を用いて機能の失調している臓腑に活力を与えてむくみの根本的な改善をしてきたのです。利尿剤で単純に体内の水分を減らしてむくみを解消させるような考え方ではありません。
腎臓や心臓、肝臓の機能が弱っている場合は漢方薬を用いてそれらの改善をすることになりますが、漢方は西洋医学では原因が解明できない日常的なむくみに対しても効果的です。現代医療の検査技術では異常が見つけられなくても、漢方の視点からみると水分の流れが悪いところが見えてくるからです。
なおむくみの本体となる組織液は、人の体重の約15%を占めます。体重増加に悩む人の場合、むくみによる体重増加に対して対処することも大切です。ダイエットの漢方相談に来る人にむくみを感じるかどうかを尋ねると、むくんでいるのかどうかよくわからない、という答えが返ってくる場合がよくあります。この場合、むくんでいるのに気がついていないことがほとんどです。その人に合った漢方薬でむくみを解消させることで、減量ができます。
日常生活では血液とリンパ液の流れがよくなるように工夫しておくといいでしょう。具体的には適度な運動、とくに姿勢よく元気に歩くことは下半身の筋肉を適度に動かすことになりますので効果的です。朝や寝る前のストレッチなどもいいでしょう。座りっぱなしの仕事中も、ときどき腹筋を使って足全体を上げたり足を動かしたり、また少しオフィスの中を歩いたりしてはいかがでしょうか。
体を冷やさない工夫も大切です。体が冷えると血管が収縮して血行が悪くなります。
食べものも冷たいものではなく、温かいものを。また小豆などの豆類や玄米などの穀物も血行をよくする力に満ちています。塩分のとりすぎやたんぱく質不足にならないよう、バランスよく食べてください。
その他、寝る前にマッサージをしたり、体を締めつけすぎない下着を着用するなど、工夫してみてください。ただしリンパ浮腫の場合はむくむ部位を締めつけるストッキングなどで症状の緩和を図る場合もあります。
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西洋医学では、むくみの原因として、うっ血性心不全などの心臓病、肝硬変などの肝臓病、腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓病、ほかに内分泌系の疾患や栄養障害などがあると考え、それらの治療を進めます。しかし実際にはそのような原因が特定できないむくみも多く、特発性浮腫とよばれています。原因不明の場合は一般的な内科の治療対象とはならず、とくに治療法もありません。利尿剤が用いられる場合もありますが、むくみの解消は一時的なものであり、服用を中止すれば当然むくみは再発します。
利尿剤については、その依存症とならないように、漫然と飲み続けないようにしてください。利尿剤により人工的に体内の水分が排泄されますので、体内の電解質のバランスが崩れたり、また利尿剤を飲まないと尿がでにくくなったりすることがあります。
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下半身のむくみに対しては実脾飲や参苓白朮散、疲れやすく冷えやすい人には済生腎気丸や右帰飲、尿量が少なく全身がむくむ場合は五皮飲や胃苓湯などを服用します。生理前にむくみがひどくなるときは苓桂朮甘湯や八物湯などが適しています。腎臓、心臓、肝臓に病気がある場合は、そちらの改善に対しても効果的な処方を選択します。
なお、以下のエッセイ・ショートストーリーも参考になさって下さいませ。
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