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精神・神経に関する
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漢方はからだ全体のバランスを整えるのが得意とよくいわれていますね。実際そのとおりでして、漢方薬は人体におけるさまざまなバランスを良い方向に持っていって、慢性的な病気や症状を根本的に改善していきます。
さて西洋医学でもバランスの調整を重視している病気があります。それが自律神経失調症。文字どおり自律神経系が失調、つまりバランスを失っている病気です。ということは、この病気には漢方がよく効くのです。
27歳の女性で、社会人になってから体調を崩してしまったかたがいました。肩こりや頭痛、めまい、便秘と下痢の繰り返し、それに慢性的な疲労感などがおもな症状です。夏でも寒いほどの職場のエアコンが原因かと半分あきらめていましたが、最近では寝つきにくくなってきたのでちょっと気になり、病院へ行きました。いろいろと検査をしてもらいましたが異常はなく、自律神経失調症といわれ、何種類かの薬をもらってきました。家に帰って調べると、精神安定剤と睡眠導入剤でした。
薬は言われたとおりに飲みましたが効いた気があまりしないし、かえってぼうっとしてしまうので服用するのをやめました。それに精神安定剤と睡眠導入剤という処方のされ方にも納得がいかず、別の病院に行ってみました。そちらでは加味逍遥散エキス顆粒が処方されました。こちらは副作用は感じませんでしたが効果も感じませんでした。
自律神経というのは、自分の意思とは関係なく、心臓の拍動、呼吸、食べたものの消化吸収、体温の調整、発汗などの働きをコントロールしている神経のこと。寝ているときや無意識の状態でも働き続けて私たちの生命を支えてくれている大事なシステムです。交感神経と副交感神経の二種類があり、お互いに協力し合っています。
交感神経は人間を活動的にする働きがあります。心臓の動きを活発にしたり発汗作用を促したりします。副交感神経は人間をリラックスさせる働きがあります。交感神経とは逆に心臓の拍動をしずめたりして体を休ませようとしてくれます。
このふたつの自律神経がバランスよく機能していると体の不調は感じませんが、たとえば関係ないときに交感神経が突然活発になると、急に汗が出たり動悸がしたりという症状が現れます。
この病気の特徴は、いくら検査をしても異常が見つからないということです。患者がいろいろと訴えているのに病院ではどんな病気かよくわからないとき、自律神経失調症という病名がつけられることが多いようです。
原因はおもにストレスといわれています。心配ごとやプレッシャー、過度の緊張などによって自律神経は大きく影響を受けます。責任感の強い人、自分の気持ちを抑えようとする人、完璧主義の人、くよくよしやすい人などはバランスを崩しやすいようです。
またホルモンバランスなど体内で起こっている微妙な変化にも影響を受けます。とくに女性は毎月の生理や更年期の際のホルモンバランスの変化が引き金となって自律神経の失調を招くことが少なくありません。それ以外にも、生活環境の変化や転職、極端な温度変化などの外的環境変化によっても自律神経系は乱れます。
症状は多岐にわたり、これまで出てきたもの以外に冷えやのぼせ、胃のもたれや吐き気、食欲不振、生理不順などもよく見られる症状です。
漢方はもともと五臓六腑や気血のバランスを調整して体調を整え、結果として病気を改善していく医学です。頭が痛いから鎮痛剤、胃がむかむかするから胃薬、便秘だから下剤というふうに症状に対してそれを抑える薬を、というのとは根本的にアプローチが違います。昔から自律神経の失調やホルモンバランスの崩れ、心身のアンバランスなどを調整するのが得意だったといえます。漢方薬を飲むと、自然なかたちで諸症状が緩和されていきます。
冒頭の女性の場合は、自律神経系の調整をして血行を整える生薬の青皮、香附子、白芍、当帰、枳殻に、ストレスに対する抵抗性を高めて気分をやわらげてくれる生薬の烏薬、酸棗仁などを一緒に煎じて服用してもらいました。加味逍遥散でもまったく効かないことはないと思われますが、顆粒や錠剤ではなかなか効果は期待できなかったでしょう。
日常の注意点としては、適度な運動や気分転換、趣味の世界の充実など、ストレスをためない工夫をするといいでしょう。また、食事はよくかんでゆっくり楽しく食べ、脂っこいものの食べすぎに注意するのも大切です。さらに規則正しい生活を続ければもとの元気な体調を取りもどすのも早いと思われます。
精神的ストレスが引き金となっている場合はカウンセリングを受けるのもいいようです。漢方のカウンセリングにいらしたかたでも、最初は「実は私、自律神経失調症で」と険しい顔つきだったのが30分後にはすっかりすがすがしい笑顔になって帰る、なんてこともあります。孤独な生活を強いられることの多い現代においては、悩みを打ち明ける話し相手、苦しみを理解してもらえる人との対話が必要なのかもしれませんね。
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西洋医学では睡眠導入剤や抗不安薬、精神安定剤、自律神経調整剤などを用いて人為的に神経のバランスを矯正する方法が主流のようです。これらの薬は服用している間は一時的に症状が抑えられますが、薬の服用をやめると多くの場合症状が再発します。また習慣性のある薬も多く、胃腸障害その他の副作用も認められています。
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ストレスや緊張の影響が大きい場合は加味温胆湯や柴芍竜牡湯、冷えやほてり、突然の汗やいらいらなどの症状が目立つ場合は杞菊地黄湯や四物湯、めまいや頭痛、肩こりなどの症状が強い場合は順気導痰湯や天麻鈎藤飲などの処方が用いられます。
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