薬石花房 幸福薬局
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⇒参考エッセイ・ショートストーリーはこちら
27歳の女性の例です。若いころからの生理不順で、ひどいときには3ヶ月ほど生理がありません。生理の回数が少ないぶん、なにかと楽だなあと気楽に考えていましたが、最近すこし心配になってきました。ホルモンバランスが悪いのかなあ、更年期の症状かなあ、結婚したい彼氏がいるけど、ちゃんと妊娠して赤ちゃんができるのかなあ……。

とくに大きな病気をしたことはないのですが生理不順以外に冷え症、寒がり、疲れやすいなどの自覚症状があります。

このかたの場合は冷えが原因で体内の気の流れなどが悪くなり、同時に内臓機能も低下して元気やエネルギーを生みだす力が弱くなった状態です。その結果、正常な月経を迎えることができずに生理不順になっています。当帰や阿膠などの漢方生薬で体を養い、鹿角膠や熟地黄で元気を補い体を温めて、半年ほどで生理不順を改善しました。

生理不順は強烈な痛みや苦しみが少ないため放置しておきがちですが、このまま歳をとると冷えや疲れが慢性化して体調をくずしやすくなり、ホルモンバランスも安定しないままになります。妊娠もしにくくなります。また早めに更年期を迎えたり重い更年期症状に悩まされたりすることにもなりかねません。皮膚や骨、内臓の老化も進みます。

女性の生理は、漢方でいう五臓六腑つまり内臓の調子や心身の状態と深い関係にあります。内臓機能や血行の悪化、さらに精神的なストレスにより生理に異常が現れます。生理不順は早めに治しておいたほうがいいでしょう。

生理不順(月経不順)とは、生理の周期・持続日数・経血量が正常範囲をはずれている症状をさします。一般に女性の月経周期は25日から38日が生理的範囲とされ、月経持続日数は3日から7日が正常範囲と考えられています。この範囲を大きく超えた場合が生理不順です。また月経周期が早まったり遅くなったりと定まらない場合や、生理が来ない無月経、また月経以外のときに子宮から出血が見られる子宮不正出血なども生理不順に含めることがあります。

月経は微妙なホルモンバランスのもとに一定の周期をもって反復します。排卵までの前半は主にエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きによって卵胞期が形成され、排卵以後はプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲンによって黄体期が形成されます。排卵からおよそ2週間で黄体が退縮して子宮内膜から出血、すなわち次の月経がひき起こされます。このように月経とホルモンの働きが深く関与していることは、よく知られているとおりです。

ただし漢方では、月経は単にホルモンだけの問題だとはとらえません。そこには臓腑の機能や血行、また精神の状態や体調なども深く関連していると考えます。たとえば仕事のプレッシャーや人間関係のストレス、睡眠不足などで生理が早く来たり遅くなったりした経験をお持ちのかたは多いと思います。

このような側面をもつ生理不順を、安易にホルモン療法などでその場しのぎをするのではなく、病態を根本的に改善することにより、自分の力で月経を正常に発来させるようにするのが漢方です。

仕事が忙しく帰宅時間も遅い33歳の女性で、生理が早く来たり遅く来たりと周期が定まらないかたがいました。仕事の関係で人と会う機会が多いのですが、人と会って話をすると緊張するタイプで、また責任のある仕事も増えてきており、ストレスも感じています。生理が遅れるときは経血量が多く、生理痛が重くなります。黒っぽい血塊が混じることもあります。

これは精神的なストレスや緊張が気の流れを乱すために生理の周期も不規則になっているタイプです。生理前にいらいらしたり乳房が張ったりする症状や、便秘と下痢を繰り返す胃腸症状を伴うことがよくあります。この女性もそうでした。

こういう場合は気の流れをのびやかにして緊張をやわらげる作用のある香附子や鬱金、川楝子などの生薬を用いて安定した生理を導きます。胃腸の不調や生理前の症状も、同時に緩和されていきます。

このようなストレス以外に、ダイエットや食事の不摂生でも生理が乱れ、また生理が止まってしまうこともあります。今は単に生理不順ですむかもしれませんが、将来は前述のように不妊になったり更年期に悩まされたり老化が加速したりすることにもなりかねませんので、早めに手を打っておいたほうがいいでしょう。

女性には生理があるおかげで、そのぶん自分の体が発する声を聞く能力が男性よりもすぐれています。ときどき少し生理が乱れる程度ならまったく心配いりませんが、ちょっとおかしいな、と思ったら、それはあなたの体があなたに何かを訴えている声です。その声に謙虚に耳を傾けて生活習慣の見直しや体質改善を図るといいでしょう。

必要に応じて排卵誘発剤や黄体ホルモン製剤、卵胞ホルモン製剤が使われます。

生理が早く来る場合は清経散・逍遥散・両地湯など、生理が遅れてくる場合は艾附暖宮丸・大補元煎など、生理の周期が定まらない場合は柴胡疎肝散・固陰煎などが使われます。また経血量が多すぎるときは挙元煎・保陰煎など、逆に少なすぎる場合は滋血湯・帰腎丸などが用いられます。月経持続日数が長すぎる場合には二至丸・桃紅四物湯などがいいでしょう。

なお、以下のエッセイ・ショートストーリーも参考になさって下さいませ。

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