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日本の漢方と中国医学(中医学)とは、同じものなのか、ちがうものなのか。それは、西洋医学と比べたりするとよく似ているけれども、でもよくみるとずいぶんちがう、というのが答えのようです。日本の漢方はもともとは中国から輸入されたものですし、原料はともに自然の生薬です。しかし処方の決め方や証のとらえ方などが、両医学においてずいぶん異なるのが現状です。
以下に、両医学の共通点や相違点について簡単にお話します。





中国の医学は、紀元前五〜三世紀ころの中国戦国時代から急速に発達し、紀元前一世紀〜紀元三世紀ころの漢の時代におおきく花開きました。重要な古典として、当時の医学理論書で鍼灸の古典でもある『黄帝内経』、薬物学の『神農本草経』、方剤学の『傷寒論』、『金匱要略』などが編纂されました。そして四〜五世紀の晋の時代あたりでほぼいまに近いかたちの基礎が確立されました。
その後、十二世紀の宋の時代の勅撰医学書『和剤局方』、明の時代の『本草綱目』、『万病回春』など日本の漢方に大きく影響を与えた古典をはじめとして、数々の医学書が編纂され、またさまざまな理論や学派が形成されて、今日に至っています。
1949年の中華人民共和国成立以降は中国医学の歴史の整理もすすみ、「中医学」の統一基礎理論が確立されました。
一方、「漢方」というのは日本の伝統医学のことをさします。十六世紀後半に日本に西洋医学が導入されたとき、その医学は、そのとき主流だったオランダ医学の名をとって蘭学とよばれるようになり、それまで日本で行なわれてきた伝統医学が漢方とよばれるようになったのです。当時は、中国・明の医学が導入され、のちに後世派といわれる流派となりました。
江戸時代になると、中国・清において起こった古代中国医学復興の動きが日本に伝わり、漢代の古典『傷寒論』や『金匱要略』を中心とした学派が生まれました。古方派とよばれています。さらにこの二つの流派の折衷派も形成されました。
このように十六世紀の西洋医学導入以降も日本では漢方が発達し、十七、八世紀には日本漢方の最盛期を迎えるにいたりました。
しかし西洋医学も次第に勢力を伸ばし、十九世紀には漢方と西洋医学の勢力が逆転するにいたり、ついに明治時代に西洋医学が正式に国の医療制度として採用され、今日に至っています。しかし対症療法中心の西洋医学に対し、体質改善を得意とする漢方は、現在も多くの人たちの病気の改善や健康維持に貢献し続けています。





漢方も中医学も、中国で古代から形成されてきた医学を基礎としています。したがってどちらの医学でもつかわれる処方は、たくさんあります。
生薬を原材料として用いる点も共通しています。生薬とは自然界の植物や動物、鉱物ですが、漢方でも中医学でも、処方を構成するのはこれらの生薬です。





中医学と漢方の大きな違いは、その「証(しょう)」の判断の仕方にあります。証とは、その人の体質や病状のことで、漢方薬は、その証にしたがって処方されます。
現在の日本の漢方の主流は、江戸時代に発達した古方派です。実際に、医療用漢方製剤150方のうち、古方派が重視する漢代の医学書『傷寒論』と『金匱要略』を出典とする処方は70方もあります。
この古方派を中心とする日本漢方では、複雑で難解な理論よりも経験・実践を重視します。たとえば、患者に頭痛や肩こり、悪寒、発熱、汗が出ない、などの症状・徴候があれば、それは『傷寒論』でいう太陽病であり、その中でも葛根湯がつかさどる病態であるから、その患者は葛根湯証であると診断し、葛根湯が処方されることになります。症状が直接処方の決定に結びつきます。
一方、中医学には陰陽五行説を基礎とした中医基礎理論が確立しており、それをよりどころとして患者の症状をみていきます。この理論は、ひとりひとりの体質や病気の状態を判断するのにたいへんすぐれた理論で、五臓六腑や気・血・津液など、中医学独特の証の判別法が含まれます。この理論にのっとって、証を判断するのです。
そして証が決まったら、その証にしたがって方針を決め、そして最後にそれに適した処方を決めます。これを「弁証論治」といい、中医学の大きな、そしてすぐれた特長のひとつです。
また中医学には「未病(みびょう)を治す」という概念があります。これは、病気になる前に体調のわるいところを癒したり体質を改善させたりすることにより病気になるのを未然に防ぐ、ということです。体調がよくないけど検査をしても異常が見つからないとか、からだのあちこちで不調を感じるとか、精神的な不調やストレスが関係しているとか、そういう場合に中医学は効果を発揮します。
以上からもわかるように、急な病気や症状の緩和には日本の漢方が、また慢性的な病気の改善や根本的な体質改善には中医学が向いているといえます。
ほかには、薬用量の違いや、処方の種類、原料生薬の種類などにも漢方と中医学の違いがあります。





明治時代以降、わが国では西洋医学が正式な医療制度として採用されています。しかし西洋医学とはまったく違う考え方で病気の改善をすることができる漢方や中医学を求める人は依然として多く、さらに西洋医学の欠点や弱点を補うことができる医療としての漢方や中医学への要望も増大する一方です。その結果、漢方や中医学を求める人は着実に増えています。
ただし問題点がないわけではありません。
まず日本の医師・薬剤師は、西洋医学の専門家です。医師・薬剤師の国家試験で漢方や中医学の知識について問われることは決してありません。それでも独自で漢方や中医学の勉強をしていればいいのですが、実際には大学を卒業すると改めて漢方や中医学を一から勉強しなおす余裕もなく、結局メーカーのマニュアルなどを頼りに西洋医学的な考え方で、西洋医薬のように漢方薬を処方する人がほとんどです。証を判断できないので、薬価基準に収載された病名や効能を頼りに薬を決めるしかありません。これでは漢方や中医学本来の効果はできないでしょう。
つぎに医療現場で多用されているのは、本来の煎じ薬ではなく、顆粒や錠剤などのエキス剤です。エキス剤は、工場の大きな釜で生薬を煮出して加熱して作られます。インスタントコーヒーと同じ製造方法です。本来の煎じ薬とエキス剤(顆粒や錠剤)との薬効の違いは、本格的なコーヒーとインスタントコーヒーとの差以上のものがあります。したがってエキス剤では、漢方や中医学が得意とする慢性疾患の改善や根本からの体質改善ができない場合はほとんどです。
医療用の漢方製剤の種類にも気になる点があります。前述のとおり、医療用漢方製剤150方のうち、漢の時代の処方が70方もあります。約二千年前の中国と現代の日本とは、時代がずいぶん違います。にも関わらず、現在もその当時の処方がそのまま普及しているのです。もちろんそれらの処方は古人の知恵が凝集したものであり、すばらしく、今の世でもじゅうぶん通用するものが多々あります。しかし時代の流れとともに病気も変わるし生活環境も変化します。漢方処方も少しずつでも整理し改良していくことができれば、漢方や中医学はさらに人類の健康に貢献できるものと思われます。


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