不妊症

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

不妊に効く漢方 ー 漢方で「妊娠しやすい体質」と「元気な卵子」を

こちらのページでは、不妊症の漢方治療について解説します。当薬局では「妊娠しやすい体質」と「元気な卵子」を漢方薬で作り上げることにより、妊娠力を高め、妊活を応援しています。

*目次*
不妊症とは
原因
治療(生殖補助医療など)
治療(漢方不妊治療)
体質別の漢方治療方針
よく使われる漢方薬
予防/日常生活での注意点

症例紹介ページもあります)

不妊症とは

不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます(日本産科婦人科学会ホームページより)。不妊のカップルは10組におよそ1組といわれていますが、近年は妊娠を考える年齢が高くなっていることもあり、さらに多いものと考えられます。

不妊症の原因については後述しますが、全体の約3分の1は原因不明の不妊症といわれています。実際、「検査をしても異常がないのに妊娠しない」というカップルは少なくありません。「病院で不妊治療を繰り返しているのに、なかなか妊娠しない」というカップルも大勢います。高度生殖医療技術の発達により、検査の結果「FSH値が高い」「AMH値が低い」ということで妊娠の可能性が低いと悩んでおられる方も増えています。基礎体温で高温期が安定しない、高温期にさっと上がらない、高温期が短い、ジグザグできれいに2相に分かれない、という体質の方も少なくありません。

本ページでは漢方不妊治療について解説します。以下の不妊症の漢方治療については、それぞれの解説・症例ページをご覧ください。
 → 高齢不妊(35歳からの漢方不妊治療)
 → 二人目不妊(続発性不妊症)
 → 不育症・習慣性流産
 → 男性不妊症

原因

不妊には、卵子の状態がよくない、排卵がうまくいかない、卵管が通りにくい、受精卵が子宮内膜に着床しにくい、などの原因が考えられます。精子の状態がよくない場合もあります。

これらのうち最も多いのが、排卵がうまくいかない場合、つまり排卵障害です。ホルモンバランスの失調や、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症などの病気が背景にあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は卵子が排卵されにくく、高プロラクチン血症の場合はプロラクチンというホルモンの影響で排卵が抑制されます。

また子宮筋腫や子宮内膜症があると、卵子が卵管を通りにくくなったり、受精卵が子宮内膜に着床しにくくなったりして、妊娠の可能性が下がります。淋菌などの感染や炎症がある場合も卵管が狭くなり、あるいは閉塞し、これも不妊の原因になります。子宮筋腫や子宮内膜症は流産の原因にもなります。

検査をしても異常がみつからない、原因不明の不妊もあります。不妊症全体の約3分の1が現代医学では原因不明の不妊です。ストレスや、生活の不摂生、運動不足、冷え症、肥満、過度の飲酒や喫煙などが関係していると思われます。

加齢も不妊の大きな原因のひとつです。卵子も子宮も年齢とともに質が低下します。ある統計によると、妊娠しやすさは35歳で最も急激に低下する、とあります。

卵子は女性の年齢とともに古くなります。まずは、妊娠して胚や胎児を体内で育てる女性の健康状態を良くし、卵子を元気にすることが、「妊娠しやすい体質」づくりの基本といえます。

不妊の原因は女性の側だけにあるのではありません。男性の側にも精子の運動性の低下や精子の数の減少などの要因があれば不妊の原因となります。奇形精子が多い場合にも受精は困難になります。近年、精巣の造精機能が低下して精子が減少しているという報告もあります。不妊の原因の約50%が男性側にあるといわれています。

一度に射精される精子の数は約1億個です。卵子の周囲に無事たどり着くのは、そのうちの100個以下だそうです。精子の数が少なかったり運動性が乏しかったりすると妊娠しにくいのはそのためです。

以下の疾患については、それぞれの解説・症例ページをご覧ください。
 → 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
 → 高プロラクチン血症
 → 子宮筋腫
 → 子宮内膜症

治療(生殖補助医療など)

ホルモン剤や高度医療技術の力を借りて排卵や受精をコントロールして妊娠したい場合は西洋医学、「妊娠しやすい体質」をつくって「妊娠力」を高めたい場合は漢方が適しています。両方を併用することも可能です。

西洋医学では、タイミング療法や、人工授精、体外受精・胚移植、顕微授精などが行われます。治療には、ホルモン剤や、高度な医療技術が使われます。

ホルモン剤には、たとえば排卵誘発の目的で、クロミフェン(クロミッドなど)やシクロフェニルなどの内服薬、hMG(ヒュメゴンなど)、FSHなどの注射などが用いられます。子宮内膜を厚くし、受精卵の発育を助けるために、黄体ホルモン補充療法(デュファストンなど)なども行われています。排卵のコントロールにはGnRHアゴニスト(スプレキュアなど)点鼻薬などの薬剤も使われます。いずれもホルモン治療です。

ホルモン治療を受ける場合、体内の自然なホルモン系に人工的に直接手を加えるわけですので、他の病気のホルモン治療の場合と同様、副作用について認識しておく必要があります。たとえばクロミフェンは3周期以上使うと子宮内膜が薄くなり妊娠しにくくなる、卵巣が腫れる、などの副作用があります。

男性側の不妊に対しては、ホルモン剤やビタミン剤が投与されます。また男性側の不妊の原因として精管閉塞や性機能障害がある場合は、それらの治療も行われます。

西洋医学では高度な医療技術を駆使して人工的に受精させたり、受精卵を子宮に戻したりして妊娠状態をつくります。しかし、肝心の母体や卵子の健康状態がよくなければ受精卵は育ちません。ホルモン治療を行うと、卵子が十分成熟しないまま排卵されたり、子宮内膜の肥厚が十分でないために受精卵がうまく着床できなかったりというケースもあります。体外受精で受精卵のグレードが低い場合や、せっかく受精卵ができてもなかなか着床しない場合など、漢方を服用、あるいは漢方と西洋医学を併用することで効果が上がることが、よくあります。

治療(漢方不妊治療)

漢方では、「妊娠しやすい体質」をつくることにより、「妊娠力」を高め、不妊症を治療します。女性が心身ともに元気で充実しているときに、卵子や子宮の状態もよく、したがって妊娠しやすい、と漢方では考えます。健康状態がよくないときや精神的に不安定なときには、なかなか懐妊しないものです。

検査で異常がみつからないのになかなか妊娠しない場合、卵子の元気がなかったり、漢方の視点からみた女性の体質が弱っていたりしているケースがほとんどです。体外受精などをしても妊娠しない場合、西洋医学では「卵子の質がよくなかった」「ホルモンバランスがわるかった」などということで結論づけられることが多いようですが、漢方は、そういう元の状態を改善することにより、妊娠の確率を高めます。

当薬局では、以下のa,bの方法で不妊症の漢方治療をしています。
 a 妊娠しやすい体質をつくる
 b 元気な卵子や精子をつくる

母体(子宮など)に元気がなく、卵子や精子の状態がよくなければ、いくら卵子と精子が出会っても、ちゃんと受精し、しっかり着床し、受精卵が育っていくのは難しいことでしょう。一人一人の体質に合った漢方薬ですと、飲み続けるうちに次第に体内のホルモンの状態がととのい、卵巣などの機能が安定し、「妊娠しにくい体質」から「妊娠しやすい体質」に変化していきます。生殖補助医療などの不妊治療との併用も可能です。

漢方では、不妊症を五臓の腎、脾、肝、あるいは気血の量や流れと関係が深い疾患と捉えています。とくに注目したいのは「腎精(じんせい)」です。腎精とは、生命活動や成長・発育・生殖の基本となる、生命体の根本をなす物質のことです。精ともいいます。精は腎に貯えられるので、腎精と呼ばれます。精には、父母から受け継ぐ「先天の精」と、飲食物が脾胃で消化・吸収されて産み出される「後天の精」とがあります。後天の精は絶え間なく腎に注ぎ込まれ、先天の精を補充します。

精のおもな機能は、「成長・発育をつかさどる」ことです。腎精は後天の精の補充を受けて次第に充実し、青壮年に最も満たされたあと、中年くらいから次第に衰え、老化に向かいます。また「生殖をつかさどる」物質として、男女の生殖能力を支配します。女性は7年周期、男性は8年周期で生殖能力や心身の活力が次第に充実し、やがて衰えていきます。

腎精のほかにも、ストレスと関係が深い五臓の肝(かん)、消化吸収機能と関係が深い五臓の脾(ひ)などの失調も、不妊症の大きな原因のひとつです。

症例紹介ページもあります)

体質別の漢方治療方針

漢方では、患者一人一人の体質に合わせ、腎、脾、肝の機能をととのえたり、気血の量や流れを調整したりして、不妊症を治療します。以下に、不妊症にみられることの多い証(しょう)と漢方薬を紹介します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

  • ①腎精不足

月経不順、とくに月経が遅れる、経血量が少ない、などホルモンバランスの失調が背景にある場合によくみられるのは、「腎精不足(じんせいぶそく)」証です。腎精が不足している証です。腎は五臓のひとつで、おもな機能は「精を蔵す」ことです。また「腎は二陰に開竅(かいきょう)する」といい、生殖器官と深い関係にあります。開竅とは、五臓の機能が反映されやすい器官のことを指します。腎精が不足しているので、生殖能力が弱く、月経が安定せず、なかなか妊娠できません。腎精を補う漢方薬で、不妊症を治療します。

  • ②脾気虚

疲れやすい、顔色がさえないなど、母体の栄養状態がよくない場合の多くは、「脾気虚(ひききょ)」証です。脾は五臓のひとつで、消化吸収や代謝をつかさどり、気血(エネルギーや栄養)の源を生成します。この脾の機能(脾気)が弱いため、気がじゅうぶん生成されず、体内の気が不足します。加齢、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより脾気を消耗すると、この証になります。元気がない、疲れやすい、気力に欠ける、食欲不振、腹部膨満感、軟便などの症状がみられます。疲れやすく、元気がないため、なかなか妊娠できません。漢方薬で脾気を強めることにより、不妊症の治療を進めます。

  • ③肝鬱気滞

ストレスの影響で妊娠しにくい状況にある場合は、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証が多くみられます。からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝の機能(肝気)がスムーズに働いていない体質です。肝は自律神経系と関係が深い臓腑です。一般に、精神的なストレスや、緊張の持続などにより、この証になります。憂うつ、情緒不安定、怒りっぽい、すっきり排便しない、などの症状がみられます。ストレスや自律神経失調が生殖器系の機能に及び、不妊症になります。漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、ストレスに対する抵抗性を高め、不妊症を治していきます。

  • ④血虚

卵子の状態がよくない、卵子に元気がない、という状態なら、「血虚(けっきょ)」証も考えられます。血は人体の構成成分のひとつで、血液や、血液が運ぶ栄養という意味があります。この血の量が欠乏している状態が、血虚です。偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより生じます。全体的な症候として、顔色がわるい、眼がかすむ、爪がもろい、ふらつき、動悸などがみられます。卵巣に良質の栄養が送り込まれないため、不妊症になります。血を補う漢方薬で、不妊症を治療します。

  • ⑤気血両虚

強い疲労感を日々感じているようなら、「気血両虚(きけつりょうきょ)」証です。「気虚」と「血虚」の二つの証が同時に生じている状態です。気虚は生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質で、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、なります。血虚は人体に必要な血液や栄養を意味する「血」が不足している体質で、偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、なります。疲労倦怠感、脱力感、動きたがらない、無気力、しゃべりたがらない、声に力がない、かぜをひきやすい、抑うつ状態、顔色がわるい、頭がぼうっとする、などの症状がみられます。卵子も精子もエネルギーや栄養不足では、なかなか受精、そして妊娠に至りません。漢方薬で不足している気血を補うことにより、不妊症の治療をします。

  • ⑥血瘀

血行を改善して子宮や卵巣に豊かな栄養を送り込みたい場合は、「血瘀(けつお)」証の治療をします。血瘀は、血の流れが鬱滞しやすい体質です。血管の微小循環障害や、流動性の異常、精神的ストレス、寒冷などの生活環境、寒冷刺激、不適切な食生活、運動不足、水液の停滞、生理機能の低下などにより、この証になります。疾患や体調不良が慢性化、長期化してこの証になることもあります。下腹部痛、頭痛、肩こり、冷えのぼせなどがよくみられます。舌が青みを帯び、青紫色の斑点(瘀斑:おはん)がみられます。血の流れを促進する漢方薬で血瘀を除去し、不妊症の治療をします。

  • ⑦寒凝

冷えが顕著なら、「寒凝(かんぎょう)」証です。冷え症である場合はもちろん、冷たい飲食物の摂取、ファッション重視の薄着、寒冷の環境での仕事や生活などにより、寒冷の性質を持つ病邪である寒邪(かんじゃ)が体内に侵入すると、この証になります。この寒邪が腎の機能を乱し、生殖器系の機能が低下すると、妊娠しにくくなります。体内を温めて血行を促進する漢方薬で、不妊症を治していきます。

ほかにも不妊症にみられる証はたくさんあります。証が違えば薬も変わります。自分の証を正確に判断するためには、漢方の専門家のカウンセリングを受けることが、もっとも確実で安心です。

よく使われる漢方薬

  • ①八味地黄丸、牛車腎気丸など

月経が不安定、など、ホルモンバランスを調えたい場合は、たとえば、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)など、腎精不足(じんせいぶそく)証を治療する漢方薬を用います。二人目不妊の方にも使います。夜更かしは控え、規則正しい生活も心がけてください。

  • ②四君子湯、六君子湯など

疲れやすい、顔色がさえないなど、母体の栄養状態を改善させたほうがいい場合は、たとえば、四君子湯(しくんしとう)、六君子湯(りっくんしとう)など、脾気虚(ひききょ)証を治療する処方を用います。食生活の見直しも必要でしょう。子宮内膜の状態がよくない場合も効果的です。

  • ③四逆散、逍遙散など

ストレスの影響で妊娠しにくい状況にある場合は、たとえば、四逆散(しぎゃくさん)、逍遙散(しょうようさん)など、肝鬱気滞(かんうつきたい)証を治療する漢方処方で、ストレスに強い体質を作っていきます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でなかなか排卵しない場合も、この体質が関係していることが少なくありません。漢方薬で緊張をゆるめて卵巣の機能を正常化させ、安定した排卵が起こるようにしていきます。

  • ④四物湯、十全大補湯など

卵子の状態がよくない、卵子に元気がない、という方は、たとえば、四物湯(しもつとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など、血虚(けっきょ)証を治療する漢方処方を使います。AMH(抗ミューラー管ホルモン)値が低く、卵巣内に残る卵胞が少なくなってきている可能性が高い場合も、卵巣に気血を送り込み、残存する卵子を元気にすることを考慮に入れた処方を組みます。

  • ⑤帰脾湯、人参養栄湯など

強い疲労感を日々感じているようなら、たとえば、帰脾湯(きひとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)など、気血両虚(きけつりょうきょ)証を治療する漢方処方が適しています。FSH(卵胞刺激ホルモン)値が高く、早期閉経あるいは更年期が近いことが懸念されている場合や、排卵していない場合も効果的です。ひとりひとりの体質に合わせた漢方処方に、これらの作用がある調合を加えて対処もできます。十分な睡眠や休養を心がけてください。

  • ⑥桂枝茯苓丸、芎帰調血飲など

血行を改善して子宮や卵巣に豊かな栄養を送り込みたい場合は、たとえば、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)など、血瘀(けつお)証を治療する漢方処方を使います。卵管が狭窄しているようなときにも用います。タバコは血行改善の大敵であることも、お忘れなく。

  • ⑦人参湯、当帰湯など

冷えも妊娠の大敵です。冷え症を改善したい場合は、たとえば、人参湯(にんじんとう)、当帰湯(とうきとう)など、寒凝(かんぎょう)証を治療する漢方薬を使います。基礎体温が2相に分かれない、高温期が短い、高温期にさっと上がらない、高温期が安定しない、などの症状のある方にも効果的です。生殖器系を温めて、卵や黄体の状態を向上させます。

  • ⑧当帰芍薬散

上記以外に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が使われることもあります。当帰芍薬散は、血虚脾虚湿滞(けっきょひきょしつたい)証を治療する処方です。血を補い水湿を除去します。不妊症の患者さんにみられることの少ない証ですが、作用が穏やかなので、漢方に詳しくない医師や薬剤師でも扱いやすいのが特徴です。妊娠力をしっかり付ける必要がある場合には効果は期待できません。

ほかにも不妊症を治療する漢方薬は、たくさんあります。当薬局では、漢方の専門家が一人一人の証(体質や病状)を的確に判断し、その人に最適な処方をオーダーメイドで調合しています。

予防/日常生活での注意点

女性は生まれたとき、すでに約40万個の卵子を卵巣に蓄えています。原始卵胞といいます。その後、卵子の数は減る一方で、生まれてから新たに卵子がつくられることはありません。毎月の生理で排卵される卵子も、あなたが生まれたときから卵巣内にあったものです。あなたから排卵される卵子は、あなたとともに生まれ、生活をともにし、年齢を重ねてきたことになります。それだけに、日常の過ごし方や食事の内容が、卵子の質に大きく関わってきます。卵子はずっとあなたのおなかの中にいたわけですから、まずはあなた自身の体調がよくないと、卵子も丈夫で元気とはいえないでしょう。すこやかに育ってきた卵子は将来、きっと元気な赤ちゃんになることでしょう。

漢方では、両親が心身ともに充実し、母体内の気血の流れがよくなったときに妊娠できると考えています。ですから妊娠しにくいときは、漢方薬と日常生活の改善で男女両方の体調をととのえて、赤ちゃんを迎えるに十分な体内環境を整備していきます。そうすることにより、たとえば子宮内膜症のように妊娠しにくい環境においても、妊娠する確率が高まります。

食生活においては、旬の新鮮なものを食べるようにしましょう。規則正しい生活を心がけることも大切です。生活のリズムが安定していれば、体内のリズムも安定します。ストレスをためないことも大切です。さらに、十分な睡眠や休養を心がけ、からだを冷やさないようにしましょう。喫煙しないのは、当然です。

漢方薬と日常生活の改善を続けて体質が改善されると、卵子が元気で丈夫になったり、子宮内膜が豊かになって受精卵が着床しやすくなったりします。「妊娠しやすい体質」に向けて、そして「妊娠力」を高めるために、前向きに取り組んでください。

 

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高  (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。

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