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 漢方薬とエコライフで、めまい・ふらつきを根治
■■不安なめまい、ふらつき■■

「お姉ちゃん、また点けっぱなしだよ」

 うちの弟は、大学で環境問題の勉強をしている。大学の先生がよっぽどいいのか、弟はすっかりまじめに環境問題に取り組むようになり、まずはできることから、ということで我が家は弟の音頭で徹底的なエコライフを推進中である。

 わたしだって環境問題に無頓着だったわけではない。快適な生活をエンジョイしつつ、その範囲内で倹約していくのがいいと思っている。

 でも、むかしから何に対してものめり込みやすい弟は、いま非常に情熱的に省エネに取り組んでいる。むかしの憲兵隊長のように家の中をうろつき、少しでも無駄があると指摘する。

 今回は、わたしが自分の部屋の電気を点けっぱなしにして、居間で母とお茶を飲んでいるところを見つかってしまった。

「そのくらい、いいじゃないの。もう少ししたらその部屋に戻って部屋の整理を続けるんだから。ちょっと息抜きしているだけなのに」

「息抜きがよくないって言っているんじゃないよ。ちょっとこまめに電気を消灯するだけでも2kgのCO2削減につながるんだからね」

 具体的に指摘されては仕方がない。廊下の向こうで弟がわたしの部屋のスイッチを消すパチンという音がした。

 地球と人類の将来のことを考えると、省エネはとても大切なことだと思う。地球温暖化で北極や南極の氷が溶けると海の水位が上がり、沿岸部の都市にとってそれは大変なことになるらしい。家庭からのCO2排出量が無視できないほどの量だというから、わたしも自分でできることから節約していかないといけないわ。

 そんなことを考えながらお風呂でシャンプーをしていると、ドアの向こうから弟の声がした。

「お姉ちゃん、シャンプーで頭を洗っているときはシャワーを止めないとだめでしょう」

 弟によると、水道の蛇口を開くと水が出てくるのは当たり前のようだが、水道水の送水にはたくさんの電気が使われているとのこと。ましてやお湯にするには、さらに電気やガスを使うことになる。シャンプーのときにシャワーを止めるだけで、一世帯あたりの年間CO2排出量がおよそ65kg削減できるそうだ。

「京都議定書の目標は、温室効果ガス排出量を6%削減すること。これを達成するためには、ひとりひとりがエネルギーの浪費を防ぐ工夫をしないとだめなんだよ」

 口うるさい弟ではあるが、おかげで上手に省エネする習慣が家族全体に浸透してきたと思う。

 たとえば洗面所や台所で水を出すとき、蛇口を開ける前に、お湯にする必要があるのかどうかを瞬時に考えるようになった。いまはレバー操作で簡単にお湯が出てくるので便利だけど、逆にそのせいで必要のないお湯を使い、無駄な電気やガスを使っていたことになる。必要なものを我慢するのではなく、その前に、無駄なことをしない意識が大事。

 冷暖房の温度も、もちろん省エネ。冷房の設定温度を1℃上げるだけで一世帯あたりの年間CO2排出量がおよそ31kg削減できるそうだ。ちょっと暑いけど、これまでが少し冷えすぎていたようにも思う。

 ただ、疲れているときには、この少しの暑さが身にこたえる。めまいがすることがあるのだ。立ちくらみも多くなった。急に振り返ったり、からだを動かしたりしたときに、くらっとすることもある。

 快適すぎる環境に、自分のからだがすっかり慣れてしまい、自律神経が鈍感になって体力が衰えてしまったのかもしれない。

 めまいの原因は、弟がクーラーの設定温度を1℃上げたせいだ、とは思いたくないが、めまいが気になるので夕食時に家族に話してみた。

「里香子が体調を崩してまでエコライフをすることはないな」

 と父が言った。省エネの音頭取りの弟も同意して、うなずいた。そして心配そうに付け加えた。

「でもお姉ちゃん、社会人になってからずっと忙しくって、学生のころよりも体力が落ちて、体質的に弱っているのもあるんじゃない? 顔色も若いころほど良くないし」

「うん、たしかにそうかもしれないわ。すごく疲れやすいし、頭がぼんやりすることもあるわ」

「だったらお姉ちゃん、一度漢方薬で体質を強くしてみたらどう?」

 弟の話によると、ゼミの先輩の彼女が、婦人科系の病気を漢方薬で根本的に改善したとのことだ。その先輩が飲み会で漢方の威力を力説していたそうで、弟も興味を持ったらしい。

 わたしも漢方には興味があった。からだの中から元気になれる感じ。

 両親も賛成してくれた。家の冷房はひとまず1℃下げて元に戻し、同時に漢方薬で体質改善をすることにした。

■■漢方薬で血行を改善■■

 漢方薬局で30分くらい初回のカウンセリングを受けたあと、漢方の先生が話してくださった。

「里香子さんの場合は、かなり体力が落ちているようですね。病気とまではいえませんが、疲れやすく、この状態では環境変化についていくのも一苦労でしょう」

「はい、元気なときは元気なんですけど、週の後半や、睡眠不足が続いたときなどは、若いころとは比べ物にならないくらい、どっと疲れます」

「そうでしょうね。からだが必要とする栄養が、じゅうぶん供給されていないような体質になっています」

「では栄養価の高い肉類などをたくさん食べればいいのですか?」

「いや、そうではありません。いまは胃腸も弱っているはずですので、そこにどっさり肉を食べても胃腸の負担になり、消化不良を起こします。結局、かえって胃腸が疲れてしまうでしょう。食べるものは、肉ばかりでなく、消化のよいものがいいでしょう。あとは漢方薬で血行を改善し、必要な栄養がからだ全体に供給されるような体質に改善していけばいいでしょう」

「ありがとうございます。そのような漢方薬を作っていただきたいと思います」

「あと、からだを冷やしすぎるのは、よくありませんよ。空調の利いた快適な環境に慣れてしまうと、なかなか元には戻れませんが、暑い夏なのに冷房でからだを冷やし続けると、血行がわるくなり、ホルモンや自律神経系のバランスがおかしくなり、体調を崩します。もちろん体質的にも弱くなり、疲れやすくもなります」

 なるほど、なんとなく自分でもそんな感じがするわ。

「めまいやふらつきは、言ってみれば、里香子さんの体質が悪化してきていることを表す黄信号。からだの内側からの悲鳴、という感じですね」

 からだの悲鳴、か。だから、からだの調子を根本的に改善する、つまり漢方薬で体質改善するのが一番、というわけね。

「耳を澄ませて、からだの声を聞くような生活は大事ですよ。心身ともに元気で暮らすための基本です」

「漢方的スローライフですね」

「そうです。からだは素直ですからね」

 わたしには、からだを滋養して栄養を補う作用の強い漢方薬が処方された(漢方道の必殺技@)。

■■からだにも優しいエコライフ■■

 その日からさっそく家のクーラーの設定温度をまた1℃上げた。やっぱり少し暑い。でも会社や電車の中で、夏なのに寒いと感じるくらいの冷房の中にいる毎日と比べて、からだが喜んでいるような気がしてきた。からだの声が聞こえるって、こんな感じかしら。

 それに、せっかくの家族ぐるみで始めたエコライフ。わたしのせいで頓挫するのも気が引ける。ここはしっかり漢方を続けて体質を強化し、元気なわたしに戻ろうと思った。

「お姉ちゃん、クーラーの設定温度、ちょっと高すぎない? これじゃ暑すぎて汗ばんじゃうよ」

 弟が気を利かせて言ってきた。

「なに言ってるのよ。夏なんだから汗をかいて当たり前でしょ。設定温度を1℃上げるだけでCO2排出量が年間31kg削減できるのよ。ちょっとくらい我慢しなさい」

 弟とわたしは、お互いににやにや笑った。

 漢方薬とエコライフの実践の効果は、かなり劇的に現れた。漢方薬を飲み始めて1ヵ月たつころには、めまいやふらつきを感じなくなった。

 エコライフって、地球にだけでなく、自分のからだにもいいことなのね。


★ 漢方道・四つの必殺技 ★

  1. 「補う」
    足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう。
  2. 「捨てる」
    体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
  3. 「サラサラ流す」
    漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう。
  4. 「バランスを整える」
    内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス・・・漢方の得意技はバランスの調整にあり。


● 今月の美肌薬膳はこれだ! ●

『さつまいものバター焼き』

材料(2〜3人分):
さつまいも 中1本(約300g)
バター 20g
塩 適宜


作り方:
@ さつまいもはタワシでこすってよく洗い、1〜1.5センチ角のさいの目切りにする。
A フライパンを熱してバターを溶かし、@のさつまいもを入れる。
B 中火〜弱火で、ときどきフライパンをゆすったり、箸でかえしたりしながら、なるべく全部の面にバターをしみこませつつ、15〜20分ほど気長に炒める。
C ひとつ食べてみてほっくりと火が通っていれば、全体に塩をふって仕上げる。


● 残暑の疲れが気になるときは、さつまいもパワーで元気をゲット!

(2007年09月号)

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