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美容と中医学


飽食の時代といわれて久しい。

しかし飽食は美徳でも自己表現でも、もはや見栄ですらない。突然金持ちになった日本人が食生活への浪費を増額し、日本人の体には負担の重い美食を重ね、心まで豊かになったと錯覚していた空しい時代を飽食の時代という。そして今、飽食の悪影響が着実に蝕んだ体と心に直面し、我々はようやく反省している。歪んだ生活習慣が我々の体のバランスを崩し、高血圧、高脂血症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの慢性病を引き起こしている。それは子供に受け継がれ、子供も苦しむ羽目になる。

実は私も当時、毎晩のように過度の飲み食いを重ね、高尿酸血症を患った口である。朝から胃がつかえて体が重だるく、仕事のペースもダラダラして集中力に欠け、少々短気になってアイデアも浮かばない日々であった。

飲食の不摂生は消化器系への負担を増し、それが続けば機能障害が起きる。上記の症状の他に下腹や鳩尾がポコンと張って時に痛み、口臭がしたり吐き気がしたり排便がスッキリいかなかったり、動悸がしたり呼吸が早く荒くなったりすることもある。げっぷや排ガスで一時的に楽になる。憂鬱、イライラ、思考力低下、ため息など精神面との関連も深い。こういう状態を中医学では「気滞」という。「気」は元気、活気の気で、本来体内をスムーズに流れる生命エネルギーを指す。「滞」は渋滞の滞で、流れの悪い状態を指す。つまり気滞は精神面、肉体面でのスムーズな流れが悪くなった状態である。




気滞に対しては食べ過ぎないことが一番である。気滞の状態では消化機能が低下しているため、通常の食生活でも負担になるが、せめて悪化を防ぎたい。

食べ過ぎないことは非常に難しい。腹八分は養生の基本だが、相当の精神力が必要だ。不摂生がたたって実際に病気を患ったような人でない限り、どうしても箍が緩み、途中で挫折してしまう。

そこでお勧めしたいのが「短期間少食法」である。2週間だけと期限を付けて食事量を減らしてみる。具体的には昼間皆と豚カツ屋に出掛けたりコンビニで弁当を買ったりするのをやめて、おにぎり一個かもりそば一杯にとどめる。できれば昼をぬいてしまう。ただしその分、朝食はバランスよく野菜中心の食事をしっかり食べる。玄米や大豆を毎日食べられればすばらしい。

2週間と期限付きだから何とか続けられる。そして2週間後には体調のよい自分に気づき、また胃も少食になれて効率よく消化吸収するようになり、余分なものが体内に残留することもなくなる。はじめはひもじい思いをしていたのに、気がつくとそれもない。このすがすがしさを感じることができれば、3週間目からもとの不摂生を再開することもなかろう。美味しいものを食べたいときに思い切り食べるためにも、普段は腹八分の養生をして食生活にメリハリをつけてほしい。

ただし無鉄砲な食事制限は時に栄養失調やストレスの増加を引き起こし、逆効果となるばかりか危険でさえある。「短期間少食法」は薬石花房が行っている生活指導の一部であるが、信頼できる漢方薬局なら同様のアドバイスは受けられると思うので、相談してから始めてほしい。




気滞でお腹が苦しいときに市販の胃腸薬を飲む人が多い。しかしそれらは成分から見ても効果は一時的なものであり、結局常用する羽目になる。飲む前に飲む類のものはその最たるもので、体をごまかして不摂生するようなものだ。根本から気滞を解消するには、たとえば枳実や鶏内金等の生薬を服用したい。

枳実はミカン科ダイダイやカラタチ等の幼果を乾燥したもの。胃腸機能を興奮させ胃の緊張を高める。約9グラムを濃く煎じて服用する。

鶏内金はキジ科鶏の砂嚢角質内壁を乾燥したもの。健胃作用が大変強く、胃の蠕動を助ける。特に脂肪の消化に適する。気滞の他、慢性肝炎にも効果がある。3〜12グラムを粉末か煎じて服用する。

生薬類は漢方薬局で入手できる。




一年の内で冬は体の機能が衰えて、自然と栄養分などが体内に蓄えられるようになっている。そこに忘年会や正月などが重なり飲食の機会も多い。冬こそ気を引き締めてもらいたい。さらに無理な飲み食いの機会が避けられない営業職の人は、仕事柄常に養生が必要だ。仕事だからと自分を説得しても、結局自分や家族に返ってくることを忘れないように。


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