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にきび(吹き出物)に悩む26歳の女性がいました。国際線の客室乗務員をしています。にきびは、学生時代はそれほどではありませんでしたが、社会人になってから、気になるようになりました。かつては、ほほに赤いにきびがぽつぽつとできる程度でしたが、いまは場所が変わってフェースラインにたくさんできます。とくに、こめかみから耳の前あたりに多く、あごの線に沿っても少しあります。はえぎわにも点在しています。にきびの色も、昔のように真っ赤にならず、くすんだような色をしています。
仕事の関係もあるのか、肌は乾燥しています。それでもにきびは消えず、生理まえには悪化します。にきび跡も消えにくく、いつまでも残っています。
――乾燥肌なのに、どうしてにきびができるのかしら。
そもそも、にきびは毛穴に皮脂がたまり、そこで慢性的な炎症が生じている状態です。したがって、脂性肌の人のほうがにきびができやすいと思われがちですが、意外と乾燥肌の人にもにきびはみられます。
そのわけをみていきましょう。
まず肌には毛穴が開いており、そこから毛が生えています。また毛穴の奥には皮脂腺があり、そこから出た皮脂は毛穴から体表にあふれ出て天然のローションとなり、お肌を潤します。
皮膚は角質とよばれる層でおおわれており、これがからだを守ってくれています。毛は、この角質層を突き破って皮膚の外に出てきています。
乾燥肌の人の多くは、この角質層が硬くそして厚くなっています。その結果、毛穴の出口が狭く硬くなっています。ですから毛穴から皮脂が出にくくなっており、その結果、毛穴に皮脂がたまりやすく、にきびができやすくなります。
漢方道では、こういう場合、皮膚の乾燥を取り除くような処方をして、からだの内側から乾燥肌を改善し、にきびも根治していきます。肌の潤いを補う(漢方道の必殺技@)漢方生薬としては、熟地黄や白芍などがあります。消えにくいにきび跡に対しては、赤芍や桃仁など、さらさら流す(必殺技B)生薬が効果的です。
冒頭の女性も、このような生薬を煎じて服用し、徐々にではありましたが約9ヵ月で乾燥肌と同時ににきびを解消していきました。
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次は脂性の肌に、にきびができる場合です。広告代理店に勤める22歳のOLのほほには、赤く大きめのにきびがたくさんありました。そのいくつかは化膿しており、ちょっと痛がゆいようです。にきびができていないところも皮脂が多く、すぐ肌がてかってしまいます。
皮膚科で塗り薬や抗生物質などを使った治療をすると、そのときはある程度改善されますが、治療をやめるとまた元のとおり、にきびができてしまいます。
――からだの中から治す必要があるのではないのかしら。
毛穴にはアクネ桿菌という細菌がいつも住んでいます。そこで皮脂の分泌が盛んになったり、肌の角質層が硬くなって毛穴がふさがったりすると、にきびができます。前者がこのOLのケースで、後者が最初の客室乗務員の場合です。
とくに皮脂の分泌が多く、そこでアクネ桿菌など細菌の活動が活発になると、炎症が起こって、にきびが赤くなります。皮脂や膿が毛穴をやぶってぷつっと出てくることもあります。こうなると痛がゆくなります。
今回の広告代理店のOLの場合は、山梔子、黄連、金銀花、連翹など、炎症や皮脂の原因を捨てる(必殺技2)力の強い生薬を用いました。漢方を飲み始めてすぐに効果が現れはじめ、4ヵ月ほどでにきびがきれいになくなりました。
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証券会社に勤務する29歳の女性の吹き出物は、口のまわりやあご、首にできます。少し赤みがあり、先がとがったような吹き出物です。たくさんあるわけではありませんが、ぽつぽつぽつと、少しめだちます。若いころはにきびに悩まされることなどなかったのですが、最近になってできるようになりました。
よく考えてみると、吹き出物以外にも、最近、疲れやすくなったようにも思います。胃の調子もあまりよくありません。もたれた感じがつきまといます。眠りが浅いのか、だるさが朝から取れないこともあります。毎月の生理は安定しているのですが、生理期間が短くなったし、量も少なくなってきたように思います。顔のつやも悪くなったように思います。
――体質が変わったのかしら。
にきびは、皮膚だけの問題ではなく、からだ全体の調子や体質そのものと深く関連しています。とくに胃腸機能が弱ってくると、免疫力も低下しますので、にきびの原因となる細菌の活動が活発になります。その結果、思春期にはにきびがひとつもできなかった人にも、にきびができるようになります。
この女性の場合も胃腸の機能低下が根本原因にあるようです。消化吸収する力が若いころより弱くなり、その結果、肌にトラブルが出るようになりました。こういう場合は、漢方薬で胃腸機能のバランスを整える(必殺技4)と効果的です。白朮や茯苓などの生薬が適しています。
さらに免疫力の低下が明らかな場合は、その免疫力も補う(必殺技1)必要があります。いわば、にきびの炎症をからだの中から追い出すような方法で対処します。漢方生薬としては、黄耆やp角刺などが効果的です。
なお、にきびと吹き出物とは同じものです。
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19歳の学生で、小さいころからアトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用薬を使ってきた人がいました。最近はアトピー性皮膚炎のほうは、ある程度落ち着いているのですが、にきびが顔のあちこちにできてきて困っています。病院で治療をしても、にきびがおさまるのはそのときだけで、またすぐに再発します。
ステロイド剤は、免疫抑制剤です。免疫力を抑えて弱くすることにより、皮膚炎などの炎症を緩和します。したがってステロイドを長期にわたって使用すると、どうしても自身の免疫力がさがり、にきびができやすくなります。
漢方では先の例と同じように、漢方生薬で免疫力をつけることにより、にきびを改善していきます。漢方の場合、免疫力をつけたからといって、アトピー性皮膚炎が悪化することはありません。それは、漢方がアトピー性皮膚炎やにきびを単に炎症としてとらえるのではなく、からだ全体のバランス(必殺技4)をみているからです。
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漢方道のいいところは、皮膚の病気に対しても、からだの内側から改善していくところにあります。それは、漢方が人体をひとつの有機体ととらえているからです。にきびだったら抗生物質で毛穴の中の細菌を減らしていけばいいというような、そんな単純なものではありません。人体を、あたかも機械を修理するようにあつかう態度では、病気の根本的な改善がむつかしい場合もあります。
漢方が発達した昔の時代には、レントゲンも血圧計も血液検査も尿検査もありませんでした。そのような時代に漢方医たちは、五感を使ってえられる情報から、患者の体内の状態を把握していきました。患者の顔色や肌の状態、髪の毛や爪の様子などをみて、患者の体質や臓の状態をつかんでいったのです。逆にいうと、その人の体質や内臓機能を改善していくことにより、肌の調子やにきびを根本的に改善していくことができるということです。
日常生活では、まず食べものに注意してください。甘いものや脂っこいもののとりすぎ、とくにチョコレートやナッツ類、揚げもの、香辛料のきついもの、刺激物、さらにアルコールやコーヒーも控えめにして、バランスのよい食事をしてください。
その他、規則正しい生活をして十分な睡眠をとってください。ストレスもよくありません。便秘、寝不足、疲れなども引き金になります。
先の学生のように、ステロイド剤、あるいはピルの副作用で、にきびができやすくなることもあります。
漢方は、困った病気や症状を一時的に抑えるのではなく、体の内側から根本的に改善していこうとします。塗ればすぐに赤みやかゆみが消える塗り薬、それはそれで便利で助かりますが、それだけでなく、ちゃんと病気の根本原因から見直して、きれいなからだに戻したい、そんなときに漢方道が役に立つでしょう。
漢方と西洋医学の両方の長所をよく理解して、病気の治療や健康維持に役立ててください。
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★ 漢方道・四つの必殺技 ★
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- 「補う」
足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう。
- 「捨てる」
体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
- 「サラサラ流す」
漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう。
- 「バランスを整える」
内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス・・・漢方の得意技はバランスの調整にあり。
● 今月の美肌薬膳はこれだ! ●
『大根とハムのグラタン 』
材料(2人分):
大根 太めの大根10センチ程度(5ミリ厚さのイチョウ切り)
玉ねぎ 1/4個(みじん切り)
ハム 4〜5枚(5ミリ角に切る)
バター 大さじ1
小麦粉 小さじ2
牛乳 1カップ
塩・コショウ・好みのチーズ・パン粉 適宜
作り方:
1.大根を鍋で水からゆで、柔らかくなったら取り出して水を切る。
2.大きめのフライパンにバターを溶かし、玉ねぎを炒める。
3.玉ねぎがすきとおったら、ハムと(1)の大根も入れてしばらく炒め、さらに小麦粉を振り入れて炒めながら全体を馴染ませる。
4.牛乳を注ぎいれ、全体にとろみがつくまで混ぜながら中火で煮る。(固すぎたら牛乳で加減する)
5.塩・コショウ・好みのチーズのすりおろしで味をつける。
6.グラタン皿に移し、上にパン粉を振って、230度に温めておいたオーブンで10分焼いて焦げ目をつける。
● ストレスで弱った胃は、消化のいいメニューでいたわりましょう!
(2004年6月号)
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