薬石花房 幸福薬局
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36. 美肌と体質
37. 肌のトラブルと体質
38. 膀胱炎
にきびに悩む28歳の女性がいました。小さいにきびがほほを中心にプチプチと広がっています。生理前には赤く大きなにきびが数個できますが、ふだんはさほど赤くならず、白っぽく小さいにきびがたくさん集まってできます。にきび跡も残りやすく、なかなかとれません。にきびがひどくなりだしたのは、2年前くらいです。去年は皮膚科にも通いましたが、効果はあまりありませんでした。

――私のにきび、どうにかならないかしら。

にきび以外には生理不順もあります。生理が遅れがちで、2ヵ月くらい来ないこともあります。量も少なくなったように思います。顔色がよくなく、肌の色つやもあまり健康的とはいえません。胃腸の調子も、ここ2〜3年あまり不調で、下痢をしたり、そうかと思えば便秘になったり、またときどきおなかが張ったりすることもあります。

話を聞くと、くだものや冷たい飲みものが大好きとのことです。朝食はくだものと冷たいジュースか牛乳という食生活です。水分については、たくさん飲んだほうが肌にいいとテレビでやっていたのを見てから、多めに飲むようにしているとのことです。

この方の場合は、知らず知らずのうちに自分のからだを冷やしているのが原因で、体調をくずしているパターンです。若い女性に多くみられます。冷たいものを食べすぎてすぐに体調を悪くするというのではなく、からだを冷やすものを食べ続けているうちに、それが何年間もつもりつもって、あるときから急に体調をくずし、いろいろな症状がでてくる、ということがよくあります。

冷え症はもちろんのこと、肩こりや頭痛、にきびや肌荒れ、生理不順や不妊症などの婦人科系の疾患、下痢や便秘など胃腸の病気など、さまざまな病気の引き金になります。にきびだと、高校生などによくみられる赤く大きなにきびよりも、冒頭の女性のような小さめの元気のないにきびがよくみられます。

漢方では、もちろん生薬を使ってからだを温め、同時に冷え症体質を改善して、冷えにくい体質を作っていきます。しかし薬の服用と並行して、食生活を改善してもらわないと、なかなか効果は現れてきません。せっかく漢方薬でからだを温めようとしても、毎日の食事でからだを冷やしているようでは、元も子もありません。

先の女性の場合は、呉茱萸、小香、肉桂など、漢方道の(必殺技1)「補う」力の強い生薬をもちいてからだを芯から温め、からだの諸機能を活発にします。そして(必殺技3)「サラサラ流す」作用の強い鶏血藤、姜黄などの生薬で血行を改善し、さらに紫花地丁や蒲公英などの「捨てる」(必殺技2)働きのある生薬を少量もちいてにきびの化膿や炎症を取り除いていきました。

さらにこの方の場合は、くだものや冷たい飲みものという、からだを冷やす飲食物が大きなマイナス要因。漢方薬の服用と同時に、これら食事の習慣の改善を心がけてもらいました。長年かけて築き上げた冷え体質でしたが、1年後には漢方薬も必要なくなり、肌の調子もすっかりよくなりました。生理も安定し、重かった生理痛も軽くなりました。

冷たい飲食物は消化器系の機能を落とし、その結果からだに取り入れられるエネルギーや栄養の量が少なくなります。結局からだ中の諸機能が低下し、免疫力が衰えるので、元気のない小さいにきびが多発し、また治りにくく、そしてにきび跡が残りやすくなります。肌の色つやがさえないのも当然でしょう。またホルモン系にも影響がでて、生理不順や生理痛、また不妊症にもなってしまいます。からだを冷やすことは、とくに女性にとって、百害あって一利なしです。

――では、からだを温める食材って何だろう。

それは、にんじんやごぼうなどの根菜類、かぼちゃやれんこんなどの硬い野菜、梅干、魚介類、種実類、雑穀類などです。からだを冷やす性質の野菜でも、煮たり焼いたりと調理法で工夫すると、からだを温める料理に変身します。

それと同じく、あるいはそれ以上に大切なのが、温めすぎず、冷やしすぎず、からだの状態をちょうどいいところに持ってきてくれる食材です。米、海藻類、ごまなどが、それにあたります。

同時に、清涼飲料水や牛乳、コーヒー、砂糖、化学調味料、くだもの類などは、からだを冷やす作用が強いことも、頭に入れておきましょう。

ただし、からだを温めるものばかり、というのは考えもの。たとえば、じつはハムやベーコン、ソーセージなどの加工食肉はからだを温める働きが強いのですが、そういうものばかり毎日食べていると健康によくないのは常識的にわかります。からだを温めるものばかり食べていては、余分なものを蓄積しやすい体質になります。いらいらしやすく、必要以上に不安にかられやすくなったりします。肌の調子も悪くなります。

ここでからだを温める必要性を話している理由は、いまの世の中でふつうに生活していると、からだがどんどん冷える方向にすすんでいくからです。からだを温めるものを意識的にとるように心がけていれば、ちょうどいいあんばいになります。

基本は、バランスよく、たくさんの種類のものを食べることです。からだの陰陽のバランスが適度な人は、無理にからだを温めるものばかりを食べる必要はありません。ちょうどいい状態を保てばいいのです。

――ちょうどいい状態に保つ力がいちばん強い食材は何だろう。

それは、わたしたちの主食、お米です。

さすがお米、というべきか、だからこそ主食になった、というべきか、米には、私たちに必要な栄養がバランスよく含まれており、くずれがちな体内諸機能の均衡を保ってくれます。同時に生命エネルギーが凝集されており、私たちに元気を与えてくれます。古くは「気」を「氣」と書きましたが、これは米に気が充満していることを、古人が知っていたからでしょう。

ただし、この場合の米は、玄米。私たちがふつう食べているのは、白米。白米は玄米を精米することによりできあがりますが、この精米の段階で、豊富な栄養や気の力が一気に失われ、白米は炭水化物のかたまりへと変化します。玄米は、沼地にまけば発芽して一本の稲へと生長できますが、白米にはその力はありません。

もちろん白米は、おいしく、また見た目も白くて美しく、ほかのおかずとの相性もよく、私たちの食欲をそそります。でんぷん源としての価値は高く、主食として問題ないでしょう。ただ、このところ元気がない、調子がでない、検査を受けても異常がないけど体調が思わしくない、肌荒れやくすみが気になるようになってきた、という場合、ちょっと玄米を試してみるのもいいでしょう。

38歳の会社員の女性は、ダイエットの相談です。自分なりに粗食を心がけてダイエットをしていますが、効果がありません。それどころか、少しむくみやすくなり、体重もやや増加しているとのことです。

話を聞いてみると、そうめんやお茶漬けばかり食べている様子。おかずの種類も少なめ。しかも、すぐおなかがすくので、おやつや、寝るまえの間食が多い。

これでは、やせません。まず栄養のバランスが悪いので、からだの機能が低下します。基礎代謝が悪くなります。しかもじゅうぶんな栄養がからだに入ってこないので、からだは守りの体制に入り、皮下脂肪などをためこむようになります。おまけに寝るまえの食事は、多くの場合、そのまま体内に蓄積されてしまいます。

正しい粗食は、ごはん、できれば玄米、を中心に、バランスよくおかずを食べることです。そういう意味での粗食は価値の高いものです。しかし粗食ということばだけが先行して流行してしまい、まちがった解釈をして体調をくずす人も少なくありません。


★ 漢方道・四つの必殺技 ★

  1. 「補う」
    足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう。
  2. 「捨てる」
    体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
  3. 「サラサラ流す」
    漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう。
  4. 「バランスを整える」
    内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス・・・漢方の得意技はバランスの調整にあり。


● 今月の美肌薬膳はこれだ! ●

『そばがきの揚げだんご 』

材料(2人分):
干し椎茸(戻して戻し汁はとっておく、みじん切り) 2枚分
にんじん(みじん切り) 大さじ2
たまねぎ(みじん切り) 大さじ3
そば粉 150g
だし、しょうゆ、みりん、片栗粉、ゴマ油、適宜

作り方:
1.干し椎茸、にんじん、たまねぎのみじん切りをゴマ油でしんなりするまで炒める。
2.(1)の野菜がしんなりしてきたら、火を弱めてそば粉を混ぜ、なじんできたら、しょうゆとみりんで好みの味をつけ、椎茸戻し汁とだしを加えて、丸めやすい固さに練って火を止める。
3.冷めたら一口大に丸め、片栗粉をまぶしてカラリと揚げる。
4.好みでからしじょうゆ、天つゆなどをつけていただく。あんかけにしてもよい(天つゆを煮立てて水溶き片栗粉でとろみをつけたものをからめる)

● 秋は香り高い新そばの季節。そばには血管をじょうぶにする効果もあり!

(2004年1月号)


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