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現代日本における疲労倦怠感の証の特徴
花粉症に対する健脾利湿法の有効性
今回は、中医学の実践における要(かなめ)のひとつである「証(しょう)」についての話です。健康な状態ではからだ全体のバランスが調っていますが、そのバランスが崩れたときに私たちは病気になります。証とは主にその崩れたバランスのことを意味します。中医学では、崩れたバランスを調えることにより病気の改善に当たります。

今回の話は証のいうのはどういうもので、そしてどうして大切なのかの話です。引き続きその具体例として疲労倦怠感の証の特徴についてお話しします。


1.中医学の判断・改善の流れ

中医学の実際の判断と処方は、中医学の基礎理論にのっとって行われます。この体系は、数千年にわたって経験的に総括され検証されてきたものです。

まず患者に対してカウンセリングなどを行い、できるだけ多くの情報を患者本人から得ます。顔色や声の特徴、舌の色や形なども大切な情報です。とくに重要なのは患者の自覚症状をできるだけ正確につかむことです。どこがどのように痛むのか、どのようなときにどうしびれるのかのかなど詳しく聞くことが大切です。

次に患者から得た情報をもとに患者の「証(しょう)」を判断します。証とは病状や体質のことで、いかに正しく証をとらえるかが重要な鍵です。中医学で証を判断することを「弁証(べんしょう)」といいます。証と弁証についてはのちに詳しく説明します。

弁証が終われば患者の証に基づいてどのように処方するかを決めます。これを「論治(ろんち)」といいます。適切な手順と具体的な方法で、患者の状態をよりよい方向へ向かわせます。そして論治にしたがって適切な生薬を組み合わせた処方が決定されます。


2.証を正確につかむことが大切

患者の病気を改善し健康を維持するためには、患者の病状と体質、つまり証を正確に判断することが重要です。弁証が誤っていると、その誤った判断に従って論治され処方されてしまいますので中医学による改善が無効となります。

正確に証をつかむために必要なことは、患者についての情報をできるだけ多く得ることと、基礎理論を十分把握することです。患者の自覚症状のひとつひとつが何を意味するのかをよく考えて判断しなくてはなりません。


3.さまざまな弁証の角度

弁証には八綱弁証や臓腑弁証などさまざまな角度があります。詳しい解説は専門書に譲りますが、大切なことは患者の証を表すのにもっとも的確な弁証をするということです。

一般的には、体力の衰えや不足すなわち虚証か、あるいは病邪の侵入や生成すなわち実証かを弁別し、寒証か熱証かを弁別します。そして実証の場合は病邪を特定し、虚証の場合は不足しているのが何かを弁別します。さらに病変部位がどの臓腑かを弁別します。

右記がすべての弁証ではありませんが、常に主な弁証の角度を頭に入れ、要領を得たカウンセリングなどをしてください。いくら多くの情報をといっても、無意味な質問を患者に繰り返すことはあまり賢明とはいえません。


4.証と病気の関係

中医学で大切なことは病気や症状に基づいてではなく、患者の証に基づいて改善法を決定し処方を決めることです。腎陽虚(じんようきょ)という証を例にとって説明します。

腎陽虚の患者には、腰痛・手足の冷え・めまいなどの症状がみられます。腰痛に悩む患者の証が腎陽虚の場合は手足の冷えやめまいを伴うことが多く、また手足の冷えに悩む患者の証が腎陽虚の場合は腰痛やめまいを伴うことが多いのです。腎陽虚の証には温補腎陽という方法で改善に当たり、処方は右帰丸(うきがん)などを用います。

この場合、患者の訴えが腰痛であっても手足の冷えであっても、弁証の結果患者の証が腎陽虚ならば処方は右帰丸でよいのです。これを「異病同治」といいます。一見関連がなさそうな腰痛・手足の冷え・めまいという病気ですが証が同じ腎陽虚ならば同じ処方で効くのです。

一方腰痛を例にとってみますと、腰痛は腎陽虚以外に肝鬱(かんうつ)や寒湿(かんしつ)という証でも表れます。しかし右帰丸で改善する腰痛は、腎陽虚の証の患者の腰痛のみです。これを「同病異治」といいます。同じ腰痛に対しても証が違えば用いる処方が異なるのです。


5.西洋医学の診断法との違い

中医学が患者の自覚症状などをもとに病気をとらえ弁証論治して生薬を用いて改善するのに対し、西洋医学は臓器の病理変化や発病物質をもとに病気をとらえ、とくに検査を重視し病名を決めて初めて治療に当たります。また中医学が証という病態や患者の体質をみすえて改善するのに対し、西洋医学は対症療法を中心に病変部位や発病物質の除去により治療します。

両医学の長所や得意分野をともに生かして患者の改善に当たるのが理想ですが、現実には西洋医学の病名と特定の漢方薬とを結びつけて改善に当たる場合が多いのが実状です。花粉症に小青龍湯、慢性肝炎に小柴胡湯、という治療が現状の主流ですが、有効な場合があるにしても無効な事例の方が多く、また危険性も内包しています。

中医学で判断・改善する場合は、弁証論治を必ず忘れないようにしてください。


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