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夏バテ知らずは、肌荒れ知らず
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■■夏バテと美容対策■■
日本の夏は暑いですね。しかも湿度が高い。元気な皆さんも体力が落ちる季節です。
汗をだらだらかいては水を飲み、胃腸もなんだかだぶついて絶好調とはいえず、肌の調子もいまひとつ。そうかと思えばオフィスや電車の中はクーラーが利きすぎて体が冷え、ホルモンや自律神経のバランスも変な感じ。おまけに寝不足で疲れがたまり、目の下にはいつも「くま」があって……。
夏が暑いのは仕方がない。ここはぜひ暑い夏と楽しくつき合いながら、元気な体と若々しい素肌を保ちましょう。
――具体的にはどうすればいいのかしら。
ここでは夏バテを四つのタイプに分けて、見てみましょう。
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■■1 暑さに負けるタイプ■■
35歳の女性。営業の仕事で外出することが多く、夏の暑さが身にしみます。スーツの中は汗蒸してブラウスはじとじとし、額の汗をぬぐうハンカチもびっしょりです。最近は食欲もなく、集中力ややる気も失せ、仕事もうまく運びません。夏バテで顔の表情も暗くなりがちで、ひどいときは動悸を感じることもあります。
私たちの体の中では、いろいろなものが流れています。たとえば血液のように目に見えるもの、あるいは気または元気のように目に見えないもの、また人の体の半分以上を占める水や脂質などです。これらがスムーズにさらさらと流れていれば、私たちは体調がよく、夏バテにもなりません。またこれらは別々に体内を流れるのではなく、それぞれ一緒になって流れています。ですから血行が悪いと気の流れも悪くなったり、水分の流れが悪いと体調をくずしたりするのです。
この女性の場合は、必要な水分が暑さのせいで汗として流れ出し、同時に水分と一緒に元気も失われている状態です。こういうときは水分だけを補っても元気にはなりません。もちろん水分補給は重要ですが、体の元気も一緒に補う必要があるでしょう。漢方では、漢方道の必殺技1「補う」を使い、水分と元気を一緒に補給します。同時に漢方道の必殺技2「捨てる」を用いて過剰な暑さを体から取り除くといいでしょう。具体的には、玄参、青蒿、麦門冬、五味子、西洋参などの生薬を用います。
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■■2 湿気に負けるタイプ■■
25歳のデザイナーの女性は、毎日清涼飲料水を500ミリリットルのペットボトルで2本ほど飲みます。はじめのころは、けだるい暑さにまいった体にキンと冷えたスポーツドリンクがしみ込んで、心身ともによみがえる気がしていました。しかし最近は慢性的に疲れがとれず、くせになったスポーツドリンクがないと落ち着かない感じ。しかも冷たい清涼飲料を飲んでも以前のようにシャキッとしません。逆にのどの渇きは増すばかりで、四六時中けだるさが付きまといます。怒りっぽくなったようにも思います。また顔や胸にぷつぷつと湿疹ができるようになり、肌の調子もよくありません。
暑いときに水分をとるのは大切なことです。でも水分のとり方には注意が必要です。
まず冷たすぎる飲みものをがぶがぶ飲むと、一気に胃を冷やし、胃腸の機能を弱めます。その結果、体に変調を来し、疲れがたまりやすくなります。多くの場合、からだが重だるく、動きが鈍くなりがちです。激しいスポーツなどで一時に大量の汗をかいた直後などは水分をがぶがぶ飲んでもいいのでしょうが、日常生活では、冷たいものの飲みすぎに注意し、できれば冷たすぎないものでのどを潤すようにしましょう。
市販の清涼飲料にも注意してください。容器の表示を見ればわかりますが、500ミリリットルのペットボトルに糖類が50グラム以上入っているものもあります。そんな大量の糖類を一度に摂取して、体にいいはずありません。糖分の過剰摂取で血液中の糖分濃度が急激に上昇し、糖尿病に似た症状が生じます。またこの反動で低血糖の状態になり、けだるいだるさを感じたり、さらに甘いものが欲しくなったりします。
この女性も、スポーツドリンクの飲みすぎです。気がつかない間に糖分をとりすぎています。まずのどの渇きは水やお茶、つまり糖分の入っていない飲みもので潤してもらうようにしました。漢方薬は、厚朴、半夏、蒼朮、カッコウ、淡豆鼓など、余分な水分を取り除いて(必殺技2)、からだ全体のバランスを調える(必殺技4)効果の強い生薬を用いて体調を戻していきました。
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■■3 栄養欠乏タイプ■■
24歳の歯科衛生士の女性は、夏バテで食欲がありません。食欲がなく体に栄養が足りないところに、さらに夏の暑さが身にしみて、ますます食欲減退、疲れがとれず、何に対してもやる気が起こりません。胃腸の調子だけでなく、肌のつやも悪く、目の下の「くま」がずっと出たままです。
夏の暑さはそれだけで体力を消耗し、体の諸機能、特に胃腸機能の低下を引き起します。胃腸の調子が悪くなると、食べたものから栄養や気を摂取する効率が下がり、ますます疲労感がつのります。さらに血行も悪くなり、顔色もさえなくなり、くまができやすくなります。息切れ、めまい、腹痛、下痢をともなう場合も見られます。こういう場合は無理して食べないで、消化のいいものを食べるようにし、しっかり休養や睡眠をとって心身を休め、漢方薬で体調を整えていくといいでしょう。
この女性に対しては、気を補って(必殺技1)胃腸の機能を立て直し、また血行を改善してくまを薄くし、元気な状態に回復させました。具体的には、黄耆、党参、麦門冬、白朮、白扁豆などの生薬を煎じてもらいました。
夏バテに限らず疲労倦怠感一般にいえることですが、疲れたときにビタミン剤に頼っても効果は一時的です。薬がきれればまた疲れがぶり返すことは皆さん経験済みでしょう。一時的に栄養補給して倦怠感を軽くするにはビタミン剤もいいでしょうが、根本的な疲労回復には生活の見直しと漢方薬が必要になると思います。
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■■4 クーラーで冷えるタイプ■■
30歳のOLは、冷え症が悩みの種です。冬の寒さもこたえますが、夏のクーラーも大の苦手。オフィスでは膝掛けが手ばなせません。それでも仕事の関係で一日中冷房のよく利いた部屋の中でパソコンに向かっていなくてはならず、慢性的な肩こりや頭痛だけでなく、生理痛もかなりつらい状態です。トイレも近く、疲れやすく、足もむくみやすくなりました。ホルモンや自律神経のバランスがおかしくなりはしないか、心配です。
一年を通じて相談が多いのが、冷え症。最近はオフィスばかりか電車の中や、デパートなどのビル内もかなり冷房を利かせているようです。暑い屋外から入ったときは救われる気がしますが、長時間なかにいると体が冷え切ってしまいます。それでも毎日の仕事や生活で冷房のよく利いたところにいなくてはならない場合、冷え症の体質を改善するのがいいでしょう。
冷え症の体質は、おもに二つあります。一つ目は、胃腸機能が落ちている場合です。食べたものの消化・吸収機能が弱いために熱の産生が不十分となり、体が冷えます。二つ目は、血行がよくない場合です。血液循環が悪いために体温がからだ全体に運ばれず、冷えます。特に手足の先がよく冷えます。その他、基礎体力そのものが弱っておりエネルギー代謝が衰えている場合や、これらいくつかの混在タイプも見られます。
この女性の場合は、肩こり・頭痛・生理痛があることから、まず必殺技3「サラサラ流す」を使って血行を改善し、また同時に根本的な冷え症も改善していくことにより、体調を整えていきました。生薬は、桂枝、当帰、鹿茸、巴戟天、党参、乾姜などを用いました。
特に女性の場合、冷えには注意してください。子宮や卵巣を冷やすとよくありません。生理痛や生理不順、そして不妊症や不正出血にも、冷え症が根本原因となる場合が多くみられます。冷えが原因でホルモンのバランスが崩れることにもなります。
なお疲労倦怠感や冷え症、また清涼飲料の飲みすぎの害などについては、拙著「漢方美人講座」(文藝春秋)の中で詳しく解説してあります。そちらも参考になさってください。
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