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 お肌と内臓の深〜い関係     
■■きれいな肌は、きれいな内臓から■■

 「えっ、肌荒れって内臓と関係があるんですか?」「にきびって肝臓が悪いと治りにくいんですか?」お肌のトラブルで漢方薬を飲む人はたくさんいますが、カウンセリングのおわりに話が皆さんのお肌と内臓の関係におよぶと、こういうことをよく聞かれます。

 実際、お肌と内臓とは深い関係にあります。漢方ではその深い関係を重視し、お肌のトラブルを内臓つまりその根本原因から改善していきます。お肌だけきれいにしても、体の中がきれいでないと、トラブルはいつまでも続きます。

 肌荒れもにきびも乾燥肌も脂性肌もくすみも、その根本原因は体の内側にあります。あなたの皮膚は体の外側から貼りつけたものではなく、体の中で作られたものです。にきびも何かぺたっと肌にくっつけたものではなく、体の中の状態に大きく影響を受けているのです。

 秋冬の季節は外気の乾燥と冷気の影響で肌が乾燥しがちですが、その度合いは人によってずいぶん個人差があります。皮膚が乾燥してカサカサになる人もいれば、ほとんど気にならない人もいます。にきびだってできやすい人と全然できない人がいます。それは体の中の仕組みが、ひとりひとり違うからです。たとえば肌が乾燥しやすい人は、必要な水分を体の内側から皮膚まで持ってきて保持できない人です。漢方では、そのあたりの体内の状態を改善してお肌の調子を調えていきます。

■■じつは古くからわかっていた、お肌と内臓の相互関係■■

 吹出物に悩む27歳の女性がいました。学生時代は肌のトラブルも少なかったのに、会社勤めをはじめてから肌の調子が悪く、毎月の生理前を中心に頬やこめかみのあたりに出る吹出物がなかなか治りません。生理前は肌荒れ以外にもいらいらしやすくなったり食べすぎたりします。お通じも便秘気味で、下腹がぱんぱんに張ることもあります。

 中国には古代から、いろいろなものをバランス感覚でとらえる考え方がありました。ひとつはよくいわれる陰と陽のバランスです。そしてもうひとつ、五行論あるいは五行学説といわれているバランスの考え方があります。これは万物を木・火・土・金・水という五要素に分類して、個々の性質や相互の関係を把握する考え方です。木は樹木のように上へ外へとのびやかにつながって伸び広がる性質のもの、火は炎のように上に向かう性質のもの、土は大地のように万物を生み出す母のような特質のもの、金は金属のように重く沈み同時に変形・変化するもの、そして水は水のように冷たくて下に向かって流れ潤すものをさします。それぞれの要素がお互いに協調しあって機能しているとき、諸事は穏やかに平和に順調に流れます。この五行論は陰陽の考え方と一緒にして陰陽五行論ともいわれます。中国古代哲学の基本のひとつです。

 古代において中国人は人体に対してもこのバランス感覚を当てはめました。レントゲンも血圧計も血液検査も尿検査もない時代に、人の持つ生命力や内臓機能、精神と肉体との相互作用などを陰陽五行論に当てはめ、多くの経験や研究から内臓相互の関連性や心身の相関関係などを明晰に確証していきました。こうして、人体をひとつの統一体ととらえて病気の根本治療を進める中国医学ができあがったのです。

 ここに大事なことが隠されています。それは、昔はレントゲンも血圧計も血液検査も尿検査もなかったのに、体の中身、つまり内臓機能が把握できていたということです。どういうことかというと、患者の顔色や肌の状態や雰囲気をみて、患者の話しをよく聞いて、その中から多くの情報を得て、それらを総合的に判断して患者の体質や体内のバランスの状態を見つけていたということです。目に見えないところから物事の本質をみぬく伝統です。中国医学が人類の英知の結集といわれるのは、こういう背景があるからです。もちろん現代医学の検査技術はすばらしいものです。これを活用しない手はありません。検査技術や科学的なデータに間違いはないでしょう。でもそれだけを頼りにしていては、片手落ちです。最新の医療技術をもってしても見えてこない内臓機能、わからない生命活動などはまだまだたくさんあります。レントゲンがエックス線を発見したのが約百年前、血圧計が発明されたのが約2百年前、それらと単純に比較できるものではありませんが陰陽五行論が示されたのが約2千年前です。祖先の知恵が結集され、いまだに色あせることなく人類に貢献しつづける中国医学に耳を傾ける人が増えているのは、このあたりに関係しているのかもしれません。人類が長年かけて論証してきた中国医学は、人の体が2千年前と大きくと変わっていない以上、当然いまでも有効なのです。

 ついでにひとつ注意してほしいことがあるのですが、それは根拠のない迷信や売り上げばかりを考えて盛んに宣伝を繰り返すような商品には簡単に飛びつかないようにしてほしいということです。どんなものでも効く人はいます。しかし実際に誰かがそれで劇的に治療できたとしても、それがたしかな根拠に基づくものなのか、多くの実績を持っているのか、安全性に対してはどうなのか、そして真剣な気持ちで誠意をもって販売されているのか、ということです。長年の経験と実績と深い理論に裏付けられて現代に生きる中国医学とは、まったく別物だと思います。もし使う場合は、ちゃんと自分で納得してから買うようにしてください。

 もうひとつ、これは中国医学だけでなく現代医学や最新医療技術にもいえることですが、病気を百パーセントの確率で治すような薬や手術は、この世にはありません。私たち人間は機械ではありません。部品を交換したり油を補給したりするだけで簡単に修理できるものではないのです。

 人には生まれつき自分で病気を治そうとする力が備わっています。これが自然治癒力です。病気になった人の体にも、もちろん自然治癒力が備わっています。病気の人の体内には病気と自然治癒力の両方があることになります。ということは病気を治療するには二つのアプローチがあり、ひとつは病気を取り除いたり抑え込んだりする方法、もうひとつは自然治癒力を高めて病気を治す方法、となります。漢方が得意なのは後者の方法です。漢方生薬が患者の自然治癒力を引き出して、病気を改善する手助けをしているわけです。

■■お肌と肝臓の関係■■

 さて先の女性の例ですが、このかたの場合はお肌の不調と深い関係にあるのは、どうやら肝のようです。肝というのは先の五行論で人体の機能を五つに分けたときの一つで、木・火・土・金・水の木にあたります。樹木のように人体に広がって精神情緒や血流や内臓機能のコントロールをします。全身のいろいろな機能が円滑に行われるように見張ってくれています。西洋医学と対応させると肝臓機能や自律神経系などが含まれます。肝イコール肝臓ではありませんが、まあ漢方の専門家でなければ、ここではおおざっぱに肝臓と思っておいてもかまいません。

 この女性の場合は社会人になったときの仕事のストレスや環境の変化が肝の機能の邪魔をして、その結果が吹出物として肌に現れているパターンです。肝の調子が悪いときの吹出物は、頬やこめかみによく出ます。生理前のホルモンバランスの変化に対しても肝のコントロール機能がついていけないため、いらいらや落ち込みなどの情緒不安定や食欲増進といった現象があらわれます。肝の不調が腸におよぶと、便秘や下痢の症状も現れます。また肝の失調が長く続くと血流にも影響がおよび、冷えたりのぼせたり、またにきびや吹出物のあとが残りやすくなったります。

 先の女性には、肝の気の流れが悪くなっている状態に対して漢方道の必殺技B「サラサラ流す」薬効の強い柴胡、香附子、川楝子、枳殻、烏薬、さらにいらいらなど気の停滞が激しい症状も見られるので必殺技A「捨てる」力の強い竜胆、夏枯草、黄?などの生薬を一緒に煎じて服用してもらいました。直接吹出物に作用する生薬があるわけではないのですが、服用3ヵ月後くらいから急に吹出物がなくなり、その他の体調も改善されていきました。

 先ほど漢方では患者の顔色や肌の状態や雰囲気をみて、その中から多くの情報を得て、患者の体質や体内のバランスの状態を見つけていく、といいました。つまりお肌の状態を見れば、どの内臓がどういうふうに調子悪いのかがある程度わかるということです。ということは逆にいうと、体内のどこの調子を調えてあげれば肌のトラブルとも根元からお別れできるかもわかるということ。今回はお肌と肝臓との関係について話しましたが、それ以外にも、お肌は腎臓や胃腸、心臓や肺、そして子宮や卵巣などの機能とも深く深くかかわっているのですよ。そのあたりはまた別の機会にお話しましょう。

★ 漢方道・四つの必殺技 ★

  1. 「補う」
    足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう。
  2. 「捨てる」
    体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
  3. 「サラサラ流す」
    漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう。
  4. 「バランスを調える」
    内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス・・・漢方の得意技はバランスの調整にあり。
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